NTT伝送システム研究開発経験者,槇一光のブログ

温故知新 「クラウドとIN」

IT業界ではクラウドコンピューティングに関する話題が出ない日はない位に、クラウド、クラウドといわれている。確かに中小企業にとっては、自前のコンピュータシステムを持たずにサービスを受けられるメリットは大きいといえる。ソフトウェアを開発する際の開発環境をクラウド上に構築すると、分散開発であっても、開発ツールが統一され検証環境もひとつで済みソフトウェアの品質が向上するとの指摘もある。

 

筆者は、通信用ハードウェア開発を18年経験した後、通信網のオペレーションサポートシステムのソフトウェア開発に10年近く携わり、高信頼システムの考え方に精通していると思っている。クラウドコンピューティングシステムは、多くのお客様のデータを預かるものなので当然高信頼でないと困るわけであるが、本当に落ちない構成になっているかどうかは、にわかには分からないと思っている。

 

昔、1990年代にIN(インテリジェントネットワーク)という概念がでてきて、電話サービスの高度化を実現した。この高度化されたサービスとは、今も続く0120の着信課金の「フリーダイヤル*」サービスや0570の「ナビダイヤル*」サービスなどである。このINを実現するために採られたアーキテクチャは、既存の電話交換機によるネットワークを伝達レイヤ、高度サービスの管理や制御を行うコンピュータノードを高機能レイヤ、そしてふたつのレイヤ間をNo.7共通線信号網で結ぶものであった。

 

クラウドコンピューティングでは、CPUやメモリを仮想化して変幻自在に使いこなすといわれているが、システムを運用する立場から言えば、どのハードウェアにどのバーチャルマシンが載っているかの構成管理は必須といえる。このクラウドコンピューティングシステムの信頼性を高め、運用管理をきちんとできる仕組みを考える上で、電話網におけるINの構成はヒントになると考えている。

 

(*NTTコミュニケーションズの登録商標)