IBC2014 現地視察 レポート

インフォーメーションタスクフォース顧問 福井省三 (情報通信研究機構 特別研究員)

IBC2014は、Contents Everywhereをテーマに開催されました。
スマホの登場によって、人々は、いつでも、どこでも、コンテンツを自由にやりとりできるようになりました。
スマホのビデオメディア化が一気に進む中で、テレビ放送は、どう変わるのか。
ことしのIBCは、2020年までの放送とWebの潮流、特に放送の視点でその道筋を読むまたとない機会となりました。

本報告書は、情報通信研究機構の調査のために、筆者がアムステルダムで開催されたIBC2014へ出張した際の報告としてまとめたものです。
報告書のポイントは、
IP技術が放送のロジに全面的に取り入れられており、ベンダーの事業も、「ものつくり」から「サービス」へ向かっていること。
放送ロジの新しい「核」としてプラットフォームが重要になってきていること。
Webとの連携をめざすハイブリッド型の放送が、視聴データを重視して、放送の新たなビジネス展開として注目されていること。
です。

目次

    (1)エピローグ
    (2)IP技術のオンパレード
    (3)生みの苦しさ。パーソナルデータの利活用
    (4)放送の巻き返し。先進地帯となった英国の動き
    (5)放送もアプリの時代へ。ハイブリッド型の放送
    (6)結論

(1)エピローグ

IBC アムステルダム会場

会議は9月11日から15日、展示は1日ずれて、12日から16日までの日程でオランダの首都アムステルダムで開催されました。

主催者発表では、会場にブースを構えた展示企業は1500社、入場者は、170カ国から55092人と昨年を4%上回りました。 私は、2000年のBS衛星放送の開始以来、放送のデジタル化に深く係わったきましたが、インターネットの隆盛に比して放送は、従来の視聴率モデルから抜け出せず、私には、デジタル化は大きな費用をかけたものの、利用者に目新しい何かを提供できずに、アナログからの単純な引越しに終わらせてしまったのではないかという悔いがありました。

そうした中で、スマートフォンの登場は、デジタル化の成否を改めて問うものとなる気配です。瞬く間に世界中の人々にスマホが普及し、テレビ放送を含む情報メディアの有り様に決定的な変化をもたらす動きとなっています。 いま、放送において、変化のカギとなるのは、「IP」, 「プラットフォーム」、「データ」とこれまでの放送にはなかった3つのファクターにあると私は考えます。

これからの放送のキー要素

しかも、従来の放送が、基本的にはドメスティックな存在であったのに対して 放送を変えるこの3要素は、世界的な規模とスピードで放送を揺さぶることになうでしょう。 そうした私の見立てが正しいのか、正しくないのか、IBC2014への参加は、それを少しでも確かめてくることにありました。  

(2)IP技術のオンパレード

放送に係わるテクノロジーの分野には、もともと、制作に係わるプロダクション技術、放送局のマスターコントロールを含む局設備、伝送路に係わる送信技術、エンドユーザが保有する端末技術と、一連の工程にそって、広く存在します。

50000平方メートルという広大な会場に出展したベンダーの多くは、これからの放送の変化を先取りして、積極的な攻勢をかけていることが感じられました。

とりわけ、主催者が、会場スペースの多くを割いたのが、Contents Everywhereと銘打った展示で、そこでは、自前の局設備に拘って来た放送事業者に向けて、クラウドの導入という新しい方向性が示されていました。放送局につい最近までいた立場で言えば、それは過剰な期待ですし、会場で聞く限り、すでにクラウドを活用している放送局というのは、ほんの一握りに過ぎません。 それでも、放送クラウドの提案に現実味を加えていたのは、放送局のバックヤードに、スマホやタブレット向けのマルチなデリバリーの役目を担うプラットフォームというステージが加わったことです。このプラットフォームが、放送サービスの新しい「核」になりえます。

IBC会場区分

上の図は、会場の展示を歩いて回った折に、個々の展示を見て、自分自身が理解するために、全体を"区画整理"していったもので、プラットフォームが 一丁目一番地に位置していました。

そのことは、今回の展示向けにエリクソン社が用意したビデオメッセージを見れば、わかっていただけると思います。

http://www.ericsson.com/thecompany/events/ibc-2014#!

「我々にとっていま重要なことは、マルチプラットフォームの考え方を極めてシンプルな形で放送局に提案することにある。」とベンダー関係者は、すでに手応えを感じていました。

会場で、もうひとつ大きなスペースを割いていたのが4Kに係わる展示でした。主催者の意図としては、4Kの展示も、ワークフローソリューションという形で、トータルなシステムとしてのアピールすることにありましたが、結果的には、個別の放送機材として、4Kカメラが展示の中心になっていました。

「4Kに向かうとしても、その経済性、特に、クラウドを活用する場合のキャパシティには、未解決の多くの課題がある。」という指摘がありました。 IBCの展示を見る限り、数年前にもてはやされた3Dと似た展開が見て取れます。

CONCURRENT社のプラットフォームの構成図

上の写真は、バックヤードベンダーのCONCURRENT社のプラットフォームの構成図。下は、カメラを搭載した超小型無人ヘリコプターです。 IP化によって、ソフトウエアを使うことで軽量化が可能になりました。

会場を見て回ると、IP化は、ハードウエア主体の放送機器をソフトウエア化することによって、ベンダーそのものの事業の性格を変えて来ているという印象を持ちます。 機器をネットワークで結び、End to Endでサービスを提供する事業への転換です。 ということで、展示から見えてきたことを、あらためて、以下のように整理してみました。

■放送分野のロジに、IPの技術が全面的に採用されたことで、全体が、End to Endのソリューションに向かっています。   現実には、これまで、個別に組み立てられてきた設備は、IP化するだけでは、互いの"管"の形状が合わずに接続できませんが、今後、インターフェースのオープン化によって、多くの改善が見込めます。

■HTML5の実装によって、どの端末でも、ひとつアプリケーションが働く、アプリケーションファミリーが誕生します。   ユーザは,いくつも保有する端末を、TPOで自由に選んで、サービスを受けられるようになります。 その結果、送り手側は、マルチデリバリーが必要になりました。

■送り手側は、集客力を高めるためには、プラットフォームの一元化が必要になります。 従来、放送局は、PCや携帯端末向けに、さまざまな配信業者のプラットフォームを販路にしてきましたが、今後、放送以外の比重が高まるので、スケールメリットによるコスト削減が重要な課題になります。 広告をつける場合に、グーグルなどがすでに証明しているように、集客力が高い程、広告コストが下がり、多くの広告主を引き寄せることが可能になります。

■すでに、Webの世界ではYoutubeなどがありますが、End to Endのソリューションは、今後は、イベント会場から、ユーザに直接、IPネットワークでライブを有料ないし、広告付きで届けることが可能になります。そうなれば、放送局はいらなくなるかもしれません。

 

(3)産みの苦しみ

IBCカンファレンス

パーソナルデータの利活用 一方、カンファレンスは、開催期間中、多くのテーマで、280名のスピーカが登壇し、放送の今後の展開について意見を交換しました。 いくつもの会議が平行して開催されますので、カバーできるのは、全体のごく一部、パネラーの数で40名程度でしたが、ひじょうに興味深い発言を耳にすることができました。以下、代表的な発言を列挙します。

カファレンスにおける発言

IBCカンファレンス発言

会議の初日、基調講演のトップバッターをつとめたのは、イギリスの民放チャンネル4のデービッド・エイブラムズ社長でした。 インターネットの浸透によって、放送がWebのサービスに徐々に視聴者や広告主を奪われる昨今の状況の中で、チャンネル4は、放送が逆にWebのお客を積極的に取りに行くという果敢な挑戦をしてきたパイオニア的な存在です。

「新しい脈動をとらえながら、放送は、IP中心の世界にあって、どう適合していけるのか?」というテーマへのエイブラムズ社長の答えは、(従来の視聴率に加えて)視聴データを活用することによって、広告を進化させる作業をすでに行っている。」と「データ」を新たな放送展開の牽引力に変えていく姿勢を明確にしました。

一方、2日目に「テレビを事業転換していく、その彼方はどんな世界か?」というテーマで基調演説を行ったのは、グーグルヨーロッパの社長マット・ブリッティン氏。放送主体のIBCのスピーカの中で、唯一Webの代表選手をつとめました。

今後のグーグルの方向性について、ブリッティン氏は、「フリーでオープンなプラットフォームが引き続き重要であり、放送に進出することは考えない。Youtubeはすでにコンテンツの70%は海外からアップされており、個々のプロデューサは、Youtube上で積極的にビジネスにしている。これから、市場が向かう方向は、ユーザ自身の選択に委ねるべきである。

放送局とは、相乗的な、and をとるような関係でいたい。」と述べました。 一気呵成にしゃべったブリッティン氏の言葉が鈍ったのは、「欧州ではグーグルはパーソナルデータの扱いで問題を起こしているが・」という司会者の問いがぶつけられたときで、ブリッティン氏は、「守らなければいけないパーソナルデータは何かをはっきりさせることが大事。最終的にはユーザの選択に委ねる必要がある。」と答えました。

パーソナルデータをテーマにしたパネルディスカッションでは、「ビッグデータは、ハイパーか、リアルか」というお題で、現場の分析者が集まったやりとりでした。

米国のNBCユニバーサル、英国のBBC, チャンネル4、そして、ドイツのRTLとデータ分析では先を行く放送局の分析者が揃いました。 ほとんどは、この1〜2年、インハウスの体制強化ということで、大学の研究室や金融システムから転職してきた人たち。放送局の空気になじめずに戸惑っている 様子が感じられました。

NBCは、Comcastというケーブル会社を親会社にして、データの宝庫をもつといわれていますが、担当者は、ユーザの許可がないとデータの活用ができずにいる現状を延べ、全体として、データ分析がexperimentalな段階にあることで一致しました。会場内から、「本当にデータビジネスは商売になるのか」という問いが飛び出し、RTLの担当者が、「効果的なデータセットを早く見つけ、Early win, Easy winな結果を求められている。」と苦しい弁明を迫られる場面がありました。

とはいうものの、欧州では、EUが、データ保護について、積極的な見直しをかけ、消費者プライバシーとデータの利活用についてすでに、明確な方向を打ち出しています。

2日目の最後にかけつけたニーリー・クローゼ副大統領の断固とした発言が強く印象に残りました。 クローゼ女史は、ドイツの下院議員を駆け出しに、欧州政治の階段を上り詰め、3週間後に引退が決まっていますが、経済統合の難しさがリアリティを増している欧州の最新状況もある中で、クローゼ女史は、「欧州は、(データ保護など)これまでの規制を見直し、ひとつのデジタル・エコノミーをつくらなければいけない 。そこから新しいイノベーションは生まれるのだ。」と政治的な遺言とも思える強い口調のメッセージを残していったのが印象的でした。

いづれにしても、標準化主導、技術先行で、推移している大きな流れも、これから2020年までの動きは、標準化につづく、制度やルール設定、ビジネスモデルを新しくすることで、マネタイズが可能になるかにかかっています。

 

(4)放送の巻き返し

先進地帯となった英国の動き 先ほど、紹介した英国のチャンネル4の取り組みをもう少し具体的にお伝えしようと思います。 その前に、英国の放送のバックグランドについてもう先にお話しておきましょう。次のページを先に見てください。

英国の広告売上 英国スマートフォン普及率

英国における広告のメディア別の売上やチャンネル4の位置、スマホの普及についてです。

チャンネル4は、BBC, 民放一位のITVについで、第三位で、マーケットシェアは11.5%.英国では、インターネットの広告がTVを完全に凌駕しています。人気サイトのランキングでは、アクセス数でグーグル、フェイスブックなど米国勢が、上位を独占し、かっては、2位につけていたBBCがいまは7位に落ちています。

また、スマホの普及については、日本は3月末で54.7%でしたが、英国は、72%と欧州では、最先進地帯となっています。 そうしたWebサービスの攻勢を前に、BBC,ITV, Ch4などは、コンテンツをインターネットでも積極的に配信する取り組みで巻き返しをはかっています。 ここからが、Ch4の取り組みについてですが、プラットフォームの必要性について、エイブラムス社長は、アプローチの真ん中に、視聴者との関係を築くためのプラットフォームを発展させる考え方を置いていると語っています。

英国 ch4の取り組み

放送コンテンツをインターネットで配信する際に、CH4へのユーザ登録を行っていて、そうした利用会員はすでに1100万人を超えています。

特に、16歳から24歳の若者層では、半数が登録済だということです。 登録者のりよう履歴などをつかって、テレビ視聴率を上げるための事前のプロモーションを行ったり、テレビの視聴率とは別に放送の広告主に対しても、データの分析によって、広告効果を説明することに役立てています。

そうした新しい取組は、伝統的なTVのスポット広告をしのぐ機会を広告主に提供することになる。利用会員に対しては、我々の最終的な目標は、パーソナライズドされたサービスにしていくことにあるということです。

 

(5)放送もアプリケーションの時代へ

チャンネル4の取り組みは、世界の放送事業者の中で突出した存在であることは間違いありません。

しかし、公共放送局のBBCと他の民間放送事業者による二元体制である点は、日本と似ており、英国が、共同してインターネットを積極的に取り込んだVODサービスに出ていこうとしているのは、日本としても大いに参考になります。

今回、独仏主導で、放送とWebの連携を進めるHbbTVは、展示はありませんでしたが、端末の普及がドイツだけでも700万台に達しているということで、日本のハイブリッドキャストの120万台を大幅に上回っています。

HbbTVは、開発段階から、すでに普及のフェーズに入っているということなのでしょう。 ハイブリッド型の放送では、テレビ受信機とインターネット回線(IP網)を接続し、視聴者は、放送番組と関連した情報や映像を通信を使って、見ることができます。また、スマホ等とも連携して、スポーツ番組や料理番組など気になるシーンをセカンドスクリーンで再生することも可能です。

HbbTV

Hbb TV

ハイブリッドキャスト(NHK)

ハイブリッドキャストNHK

ハイブリッドキャスト(TBS)セカンドスクリーン連携

ハイブリッドキャストTBS

IP, プラットフォーム、データという新しい観点で放送の可能性を見通した時に ハイブリッド型の放送というのは、放送の本命であることは間違いないというのが、私の所見です。

4Kのほうがハデに見えていますが、IP技術との親和性、データを活用したマネタイズモデルといった点で一歩、先を進んでいます。

視聴者データと放送局のプラットフォーム

上図は、放送番組や関連情報を見た視聴者データが、テレビやスマホなどから放送局のプラットフォームにリターンされる関係を表したものです。

英国のチャンネル4の取り組みでは、テレビ以外のスマホやPCの利用者データを収集して、番組のPRなどにすでに積極的に活用していましたが、今後、テレビ受信機からもデータの収集が可能になれば、オランダの風車のように、データが大量に汲み上げられて、利用者のニーズにあったアプリケーションの開発が期待できることになります。

広告スポンサーが保有するマーケッティングの情報等、外部データとの連携も可能になれば、スマホですでに実践されている"アプリの世界"が放送にも広がっていままでにないマネタイズモデルが描けてくるよ、うな気がします。

 

(6)結論

IBC2014結論

今回のIBCを見て、強く印象つけられているのは、近い将来、すべての"もの"がインターネットにつながって、これまで日常に使ってきた"もの"に新しい価値が加わる可能性が生まれています。

HTML5の標準化によって、アプリケーションファミリーが広がり、放送の回りにも新しいバリューチェインが組み立てられていきます。

W3Cは、すでに、すべてのものがつながる"Web of Things"の考え方を標榜していますから、その方面の標準化が次の焦点になることは間違いありません。

 

IBC2014をそれなりにじっくり観察し、私なりに得た結論を以下に列挙します。

■オープンなインターフェースによって、すべてがつながる時代が来る。

2020年には、いまの想定を超えたサービスが出現するかもしれない。 放送にも、さまざまな形でIP技術が取り入れられていくという見通しが確かになったのが、今回のIBCでしたが、現実に、End to End をひとつにつなぐには、いわば「管の口径」がまちまちの個別のシステムのインターフェースをどうひとつにしていくのかという課題が浮かんできます。ビジネスも絡んだいろんな利害の調整をともなうことになります。 放送で言えば、広告のメタデータのフォーマットの統一等、これから手をつけなければいけない多くの課題が残されています。 それはそれとして、グーグルやフェースブックがそうであったように、新しい牽引車が、どこからともなく彗星のように現れて、新しいサービスが、人々に受け入れられて行くという可能性は大いにあると見なければいけません。

■HTML5の標準化によって、マルチスクリーン化はこれから本番を迎える。

ユーザの嗜好にあったアプリ開発を行ったプラットフォームが優位に立つ。 放送の場合は、視聴率という絶対的な指標がオールマイティな力を発揮して来ました。しかし、アプリケ−ションの時代は、特にスマホなどのポータブル端末では、いろいろ問題は含み乍らも、パーソナルなデータの取得がサービスの前提条件になりつつあります。ハイブリッド型の放送においても、ユーザの嗜好にあったアプリ開発を行ったプラットフォームが優位に立つことになります。

■ 技術の標準化の次に、サービスのルールが重要になる。

パーソナルデータについては、米国、EUがすでに消費者のプライバシーと両立させながら、積極的な利用へ向けて、政府が舵を切りました。IBCでは、現場の担当者のパネルディスカッションを聞く限り、決定的な実効策はこれからで、まだまだもたついている印象は拭えませんでしたが、EU副大統領のクローゼ女史による強い決意の表明によって、方向性は確かめられました。 何をもって、パーソナルデータとするかを明確にしつつ、利用者本人から、どういった手続きで、パーソナルデータの利用の許諾を受けるかなど、ルールつくりは、すでに各方面で進行中です。日本のハイブリッドキャストにおいても、 ルールつくりが必須になっています。 技術の標準化だけでは済まない課題が、インターフェースのオープン化などには残されています。その多くは、技術で解決するというよりサービスのルール化といった取り組みを通じて解決することになるでしょう。従来の放送と違って、ハイブリッドキャストがつながるWebの世界には、国境はありませんから、ルールは、グローバルな国際的なインターオペラビリティが重要になります。

■ いづれにしても、スピードが勝負。

クラウドの活用は不可避になる。 レガシーなサービスがある以上、標準化にしても、ルールつくりにしても、ある日を期して、市場が全面的に移行するということはありません。徐々に徐々に移行して行くことになるでしょう。しかし、様子見をしていればよいという状況にはありません。市場の変化が一気に加速したケースを、世界はスマホで見て来ました。スピードが勝負になります。 すべてを自前の設備でという考え方は、もはや捨てなければいけません。今回のIBCでも、ベンダーの攻勢に比して、放送局の経営資源の再配置というトランスフォーメーションは、まだまだであるという印象を持ちました。パーソナルデータの専門家によるディスカッションで、専門家の多くは、大学の研究室や金融データなど放送以外からの転職者たちでした。コンテンツ制作者の価値観を絶対視する企業カルチャーとの相克を感じました。

■ 放送が競争力を持ち続けるかどうか、広告の進化がカギになる。

チャンネル4の場合も、放送そのもののマス広告を変えようというところまでは至っていません。しかし、VODとかで、ターゲット広告の導入をめざしていることは明らかです。近い将来、データドリブンな収入を総収入の50%まで 引き上げることを目標にしていました。

 

以上が私の結論です。

ただし、以下の留意点を添えたいと思います。 これまでの推移で見て行くと、今後、通信トラフィック量の増大が極めて大きくなります。新しい技術が伴わないと通信回線が限界をきたすでしょう。そのことが、新たな技術開発のきっかけになるかもしれませんし、逆に進化を阻害することになるかもしれません。米国では、FCCが従来の"技術の中立性"という方針を変えてでも、特別の料金をとるかわりに回線の品質を確保したFASTレーンの考え方を検討しています。また、米国では、周波数についても、デジタル放送の周波数を1社6メガから3メガに削減するRepackage政策 が動き出しています。こうした動きを、引き続き、注視していく必要があります。