吉澤 (よしざわ)
たまにであるが、牛肉が食べたくなる時がある。
それもステーキを食べたくなるのである。
恐らく体が欲しているのだろうが、大抵は別のもの、例えばとんかつを食べるとか、牛丼を食べるとかしてごまかしている。
この日もどうしても牛肉が食べたくなった。
朝から炎天下で、2時間以上歩き、お客様への営業活動を行った後のランチタイムだ。
もう時間は13時を少し回ったあたり。
銀座の飲食店も昼時の混雑がおさまり始めた頃だ。
『吉澤』は、銀座松屋から中央通りに抜ける小道にある。
周辺には名のある飲食店が隣接しており、競争の非常に激しい地域である。
その『吉澤』のステーキ丼をどうしても食べたくなり、とても久しぶりに伺ってみた。
一流のうなぎ屋でもこんな美しい漆塗りのお重はなかなか見ない。
角の丸さ、蓋の重厚さ、表面の磨き、正確な寸法と反りの無いつくりは、手にしても持ち重りがせず、しっくりとなじむ。
ステーキは食べやすいように小口に切った上等の牛肉であるが、簡単に噛み切れると言うか、とろけるような舌触りである。
醤油ベースのたれに付け焼きされており、ほんのりとバターの香りがする。
私はどちらかというとバターではなく、山葵か大根おろしでいただきたい。
バターは別盛のほうがいい。
小鉢とサラダ、香の物と味噌汁がつく。
とても美味しい味噌汁だった。



コメントする